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【第14回 JSDNNM学術集会 in 名古屋】をリアルレポートします!前巻

先日、名古屋で開催されました第14回日本神経筋疾患摂食嚥下栄養研究会(JSDNNM)の学術集会に参加して参りましたので、ここに報告させて頂きます。

JSDNNMについては、このブログの中でも何回か御紹介させて頂いていますが、神経内科医か携わる神経筋疾患の摂食嚥下栄養の問題を、多職種で考え解決していく会です。私は第10回大会から皆勤を続けております。

日本神経筋疾患摂食嚥下栄養研究会
https://www.jsdnnm.com/about_jsdnnm/

今回は、名古屋大学医学部耳鼻咽喉科 准教授 藤本 保志先生が大会長をお努めになられ、名古屋大学附属病院のメインホールでの開催されました。私の母校でもあり、またこのホールには多種多様な想い出がありまして、今回は例年以上に気合いが入りました。

会は、大会長藤本先生のオープニングリマークで開会となりました。嚥下手術で御高名な藤本先生らしい、きめ細やかなプログラム構成で、特に私は嚥下手術について最新の知見をお聞かせ頂ける事、大変楽しみに当日を迎えました。

2018-10-27 18.07.27

最初のセッションは県立広島病院小児感覚器科 益田 慎先生による「乳幼児の摂食嚥下障碍」のご講演でした。私の場合、成人の方の嚥下障害を担当する事がほとんどですが、乳幼児においては特に窒息が問題となること、とても分かりやすい図や嚥下内視鏡の動画でお示し頂きました。益田先生の「乳幼児の嚥下障碍を何とかしてあげたい!」の熱いご講演で、学術集会は最初から盛り上がりました。

私は一般演題その1の座長を、福岡大学歯科衛生士の梅本丈二先生と一緒に務めさせて頂きました。座長はいわゆる「セッションの盛り上げ役」で、時間を守りながら次に繋げる事が最重要ミッションです。益田先生に熱くして頂けました会の雰囲気をそのまま引き継げ、質疑応答では有意義で活発なディスカッションとなりました。

 スライド2

会場が「もっと質問したい雰囲気モード」になり、時間内に終了できるかの「大変まずいモード」になりましたが、ちょうど時間内にフィニッシュすることが出来ました。

スライド10

次のセッションは藤本先生の大会長講演でした。お題は「嚥下障碍の外科治療」です。以前より、藤本先生の鋭い切り口と独自のユーモアで聴講者を引きつけられる話術は、お手本とさせて頂きたいと思っていまして、最前方に陣取り拝聴しました。

名古屋JSDNNM藤本先生⑤

藤本先生は嚥下障碍では色々な手術方法があることを、内科医にも分かりすくお示し下さいました。特に私が印象に残ったのは、豊富な手術症例数と良好な手術成績とともに、その多くは通常ではオペ適応にならないようなミッション:インポッシブルシリーズであられました事をでした。

 スライド5

また困難な嚥下障害症例に遭遇した時、下記のような心構えが大切との教えは、私達内科医に取りましても大変良きお手本となりました。手術に直接携わる事のない内科医の私達ではとうてい計り知れない、ご努力とご苦労があられての手術成績なはずで、心より敬服申し上げました。聴講されていた御高名な神経内科先生方からも、素晴らしい大会長講演であったと大絶賛でした。

 名古屋JSDNNM藤本先生⑥

次のセッションは、名古屋大学名誉教授・祖父江元先生による特別講演でした。祖父江先生は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)といういわゆる運動ニューロン病(運動神経細胞が選択的に障害されていく神経難病)の研究において、世界を牽引されております大変御高名な先生です。藤本先生は、特にSBMA研究では、神経変性疾患において世界初の病態抑止療法をご発案され治療法まで確立された事は、既にレジェント級になっていることを御紹介されていました。

スライド6

今回は難病と呼ばれる病態の解明から、治療法の開発を諦めずに長年にわたって尽力され続けたご経緯を、大変分かりやすくお聞かせ下さいました。祖父江先生は、私が大学で授業を教えて頂いた当時より、学生を寝せない講義をされる事で有名でした。今回も神経変性疾患の分子生物学というかなり最先端かつ専門的なお話で、おそらく他の先生がこの会で話されると、ほぼ全員が重度の害を発症するような内容でしたが、皆さんは最後まで食い入るように聴講されていました。このスライドは、SBMAの世界初の症例報告は愛知医学校(名古屋大学の前身)の川原汎先生であることを示されたものです。100年以上もの時を経て、名古屋大学で脈々と受け継がれ、治療法確立までに至られた事の偉業、とても良く理解出来ました。また祖父江先生は、SBMAの基礎研究から臨床研究において尽力された先生方を、御紹介されていました。各大学の神経内科教室の教授にご就任された先生も多数おられ、私自身も学生時・大学院時に親身にご指導頂きましたこともあり、自然と背筋が伸びました。基礎研究から始まり、治療薬として承認されるまでの祖父江先生の苦労話には、深く感銘するとともに、医師主導の臨床試験がいかに重要であり社会的意義の高い事、良く理解する事が出来ました。

名古屋JSDNNM祖父江先生特別講演③

祖父江先生は、ALS基礎研究のトピック・最前線のお話もお聞かせ下さいました。名古屋大学と慶応大学の共同研究により、iPS細胞を応用された弧発性ALSの病態を反映したモデルを作成されていること、また個々の患者さんの臨床症状や経過が多彩であることを遺伝子レベルで解明が進んでいること、特にJSDNNM代表世話人の湯浅先生は深く感銘されていました。難病中の難病とも表現されているALSの治療法が開発される日は、確実に近づいていることよく理解出来ました。

また祖父江先生はご講演の中で、SBMA臨床研究の主要評価項目の1つになった嚥下造影検査についても、大変詳しく御教授下さいました。1つの検査の評価法を、ここまで詳細かつマニアックにご検討されて、臨床試験に持って行かれた事、とても感銘しました。評価法はとても参考になり、当院の嚥下臨床でも活かしていきたいと思いました。

座長の藤本先生は、「大学大先輩の世界的な御高名先生の座長を拝命出来ました事、大変光栄で嬉しいです」と、おしゃられていました。藤本先生が感極まっているご様子は会場全体にも伝わり、拍手喝采で特別講演は閉会となりました。

名古屋JSDNNM祖父江先生特別講演⑪

今回改めて分かったことは、祖父江先生は、例え専門外の人には分かりにくい内容であっても、全体の流れを理解いただくのに外せない事をお話される時は、ユーモアトークでひと休止させ、聴講者を注目させられている事でした。どれだけ優れた研究成果でもBroad Audienceに理解されないと(一般の方にも理解される)、普及、引いては患者さんのためにならないのが世の常です。祖父江先生のこの極意、今後は是非参考にさせて頂きたいと思いました。

祖父江先生には会後、JSDNNM活動について「医師だけでなく多職種連携も交えた大変有意義な会」とお褒めのお言葉をかけて頂きまして、世話人の1人として感無量モード(T_T)になり、今後ともこの会で更に頑張っていきたいと強く思うことが出来ました。祖父江先生、この度は大変貴重なご講演とエンカレッジ、本当にありがとうございました。

医療法人誠道会
各務原リハビリテーション病院
副院長・神経内科 和座 雅浩

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