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ノーベルプライザー山中先生より再生医療の近未来のお話を賜ってきました!

先日、京都で行われました医学会総会&内科学会総会に、磯野院長と私で参加して参りました。医学会総会は日本中からあらゆる科の医師が集まる国内最大の学会です。

日本医学会総会2015年
http://isoukai2015.jp 

総会

私は医学会総会には初参加となりましたが、最大の目的は京都大学iPS細胞研究所所長、山中伸弥先生の講演を聴講するためです。山中先生は2006年にiPS細胞樹立という医学・生物学史に残る大発案をなされ、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された研究者です。
 
 iPS細胞とは人工多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cell)の略で、人間の皮膚などの体細胞に極少数の因子を導入し培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化できる細胞です。体細胞が多能性幹細胞に変わることを専門用語でリプログラミングと呼ばれていますが、山中先生が見いだされた手法は、わずかな因子でリプログラミングを起こさせる事が可能であり、再現性が非常に高く、幹細胞研究におけるブレイクスルーとなったのです。当時の再生医療はES細胞(embryonic stem cells)という胚性幹細胞を応用したもので、この作製には受精卵ないし受精卵より発生が進んだ胚盤胞が必要不可欠でした。ヒトに応用する場合は、受精卵を材料として用いることで、赤ちゃんの命を摘み取ってしまうという大きな倫理的な問題が避けられなかったのです。しかし、iPS細胞は自己の皮膚細胞などを利用できるため、こうした倫理的問題や免疫拒絶反応という医学的問題を解決出来る手法として、大注目されることとなったのです。日本人ノーベル医学賞においは、1987年受賞の利根川先生以来の2人目、また国内医師・医学博士のノーベル賞受賞は初の快挙となり、国家を挙げて祝福されていた事、皆様もよく覚えられていないでしょうか?また研究発表からわずか6年足らずでノーベル賞受賞となるのは超異例と、先代のノーベル賞受賞者達が絶賛されていたこと、私も鮮明に記憶しております。このような山中先生のiPS細胞研究のお話は、今回の総会のメインテーマの「医学と医療の革新を目指して」にまさにぴったりです。メインの会場はあっと言う間に満員御礼となってしまいまい、あふれた私達は別会場に案内され、スクリーンでの聴講となってしまいました(;_;)。我ら日本人医師団が世界に誇る医学博士の講演を一度聞いてみようと、同じ思いの医師は一杯いるんだなあと思いました。
 
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今回、ノーベル賞を受賞された研究者の生い立ちから成功までのサクセスストーリーの一部始終のお話から、以下の3つの事を学ばせて頂きました。
 
まず1つ目は、今回の大発見を生んだ源は、山中先生の「患者さんの治らない病気も、新しい医療技術の革新により何とかしたい!」という医の心に基づいている事です。大好きなお父様を肝硬変で亡くされた事をきっかけに、整形外科医として重度の関節リウマチに患われる患者さん、また骨腫瘍で亡くなられていく高校生の方達を診られている中で、iPS細胞研究を押し進められた事、感銘深く拝聴しました。
 
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2つ目は、ノーベル受賞者はユーモアのセンスも超一流である事です。 iPS細胞の生みの親となった山中先生は、最初を小文字にされたのは当時の世界的大ヒット商品であったiPodを習ってつけられたとの事、世界に広まることを願ってだったそうです。また「私は手術は下手で、じゃま中と呼ばれていた」 や、何より「父の髪の毛の量が多かったことは、とても羨ましかった(笑)」と自虐的にも近いご冗談を(上記の写真をみて頂ければわかります)、このような場でもサラリとおしゃられるセンスは、凄いと思いました。
 
3つ目は、山中先生の仲間に対する思いやりと気遣いです。至る所で共同研究者に対する労いと感謝の気持ちを述べられており、仲間を大切にされるお人柄を随所に感じました。 山中先生の研究室には、300人近くもの沢山の研究者がおられるそうですが、再生医療の実現に向けて一丸となられている様子も、とてもよく分かりました。
 
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/yamanaka_group/index.php/nggallery/photo-albums/2013-lab-group-photos-2?page_id=45
 
お話の最後には、臨床応用に向けて解決していく事はいくつかあるものの「この10年間の進捗状況は順調!」との力強いお言葉を聞き、iPS細胞技術による再生医療の臨床応用はそれほど遠くない事をリアルに感じることが出来ました。
 
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また今回のような超先端医療研究のお話の中でも、リハビリテーションの大切さは至る所で触れられていました。特に脳神経系の場合、臓器としての機能を発揮するためには、神経細胞同士の繋がりが必須で、神経の可塑性を促進するためにはリハビリテーションが欠かせません。iPS細胞による再生医療が確立した後には、ニューロリハビリテーションの重要性はさらに高まるのではと思いました。来たるべき再生医療の近未来に備えて、当院の診療レベルの質向上に尽力したいと心に誓い、京都を後にしました。
 

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医療法人誠道会
各務原リハビリテーション病院
神経内科 和座 雅浩

 

 

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