第58回日本糖尿病学会年次学術集会に参加してメインイメージ

第58回日本糖尿病学会年次学術集会に参加して

日本糖尿病学会年次学術集会に参加してきました。今年は山口大学医学部の谷澤教授が大会長をされ、「糖尿病の進化と深化~サイエンスとヒューマニティーの融合~」のテーマのもと、山口県下関市で開催されました。仕事の関係で週末のみの参加となってしまいましたが、有意義な学会でした。

  無題

下関には下関港国際ターミナルがあり、「釜山・青島へ」などの看板も見られ、山口県が地盤である安部首相が、安全保障に対して思いが強いのもわかる気がいたしました。JR在来線で海峡トンネルを越えると15分くらいで門司や小倉に着きます。日本糖尿病学会で一番大きな大会であり12000人ほどの参加者が集まります。そのため地方都市で開催された場合、会場が足りなくなることもあります。今回は下関の特徴である海との関係からか、一部会場が大型フェリーの中に設置されていました。

2

シンポジウムや教育講演を主に参加してきました。肥満と糖尿病の関係においては32の遺伝子座の存在と生活習慣や環境因子などが複雑に絡み合い糖尿病を発症してくる、糖尿病のフットケアの重要性、高齢者糖尿病の特殊性(低血糖を避けることが重要)、インスリンとインクレチン製剤の併用療法の有効性、高血圧ガイドラインと糖尿病高血圧、高齢者糖尿病とサルコペニア・フレイル、などの講演を拝聴いたしました。

3

サルコペニア・フレイルについて少しお話したいと思います。「サルコペニアとは筋肉量と筋肉の進行性かつ全身性の減少に特長づけられる症候群で、身体機能障害、QOLの低下、死のリスクを伴うもの」と定義づけられます。具体的には若い人と比べて筋肉量が標準偏差の2倍以上の減量があり、握力や歩行速度が一定以上低下した状態である事を調べることにより診断します。このような状態を疾患ととらえて治療法が研究されています。2型糖尿病を持っている人はサルコペニアになる危険性がそれ以外の人と比べて3倍近いとの報告もあります。次はフレイルについて説明します。これは英語の弱った状態を表すfrailtyから出来た単語です。フレイルの診断は、

・年に4~5KGの体重の減少
・疲労感
・活動性の低下
・歩行速度の低下
・筋力の低下

上記のうち「3項目以上がフレイルで1~2項目がプレフレイルと定義されています。最近の研究で要支援や要介護状態の方々を自立まで回復させることが難しく、その前段階のフレイルで運動などの治療介入を行なおうとの取り組みが始まっています。基本的にはテレビの前に座っているような生活をやめて社会に出て活動することだといわれています。その意味からも糖尿謬などの治療のみならず、高齢者に多いうつ状態などの治療も重要と思われます。予防効果のある運動は適度なレジスタンス運動とバランス運動を毎日行なうことといわれており、その意味においてロコモティブ症候群の予防運動が良いと思われます。日本整形外科学会の作成したロコモチェックとロコトレをインターネットの以下のURL

を参考にして行なってみてください。(https://locomo-joa.jp/check/

最近の糖尿病治療の進歩は著しいですが、一方で高齢の方の治療に関してその身体の特殊性を考慮した治療が求められるようになってきました。多くの認知症のお年寄りを診させていただいた経験から思うのですが、人はオギャーと生まれ成人し老衰で死ぬ過程において、筋力が衰退していき、同様に脳も衰退し赤ちゃんに戻っていくのだと思います。大人と違う小児の治療法があるように、ご高齢の方の治療法があって当然と思われます。病気を治すことを大きな目的として進歩してきた西洋医学でありますが、今後は終末期を迎えるご高齢の患者さんやご家族のQOLを考慮した医療・介護、これも大切な仕事になってきたように思われます。

 

医療法人誠道会
理事長 磯野倫夫
ページトップへ移動