神経筋疾患嚥下障害における早期介入の重要性を学ぶ~2015年JSDNNM学術集会 in 神戸よりメインイメージ

神経筋疾患嚥下障害における早期介入の重要性を学ぶ~2015年JSDNNM学術集会 in 神戸より

去る10月24日に開催されました日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会(JSDNNM)第11回学術集会に参加・発表して参りましたので、その様子をレポートさせて頂きます。本研究会は摂食・嚥下障害の中でも、神経筋疾患などいわゆる神経難病にフォーカスを当てた研究会です。私の専門が神経内科であり、日々の診療において神経筋疾患摂食嚥下の問題解決が急務と考えていた2年前、兵庫医療大学の野﨑園子先生より、この研究会の存在を教えて頂きまして入会しました。

日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会
https://www.jsdnnm.com/

 無題 (2)

今回の会場は、神戸ポートアイランドにある兵庫医療大学でしたが、 さすがお洒落な街にある校舎、センスの良さが際立っていました。 またキャンパスからは、写真のような神戸の景色が眺められる環境も素晴らしく、「学生時代に戻れるならここのキャンパスで学び直したい!、青春をやり直したい!」と思ってしまいました(笑)。
 
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今回はある神経変性疾患の嚥下障害に対して、当院で最近導入している頸部干渉波刺激装置の効果を検証する事が出来ましたので、その経過と改善効果について発表してきました。この病気はパーキン症候群のひとつとで、その発症率は10万人あたり5名前後とされていますが、神経内科医はしばしば遭遇する病気のひとつです。経過と共に嚥下障害を高率に合併され、誤嚥性肺炎で命を落とされてしまう方を私も沢山診てきていましたが、根本的な治療法がなく、嚥下障害についても経過をみるしかなかったのが実状です。

幸いにもこの患者様は、これまでに誤嚥性肺炎を起こされた事はありませんが、1年ほど前より食後の咳と痰がらみに気付かれていたそうです。嚥下機能評価の為、当院外来に受診されたのですが、御紹介頂いた神経内科先生の鋭いご指摘通り、詳細な検査をしてみると嚥下機能はかなり低下している事が判明、唾液すら上手く飲み込めず、気管内に頻回に入り込み、いつ肺炎をおこされてもおかしくない状態だったのです。この疾患に対する干渉波刺激については先行研究がなく、手探りの状態でスタートでしたが、干渉波刺激装置を組み合わせた嚥下リハ開始後は、食事のムセの頻度と程度は軽減し、検査上でも嚥下機能の改善効果が確認でき、今も肺炎をおこされずに、経口摂取を続けらています。今回の様に干渉波刺激装置の特性を活かした早期嚥下リハの導入が、誤嚥性肺炎のイベント抑制に有効となり得る可能性に触れ、発表を終わらせて頂きました。進行性の経過をたどる神経筋疾患嚥下障害であるからこそ、早期介入が重要である事を学ぶ事が出来た症例でした。
 
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発表後は、「どのような機序で改善効果を得られるのか?」など多数の質問を頂き、徐々に悪化していくことが常の嚥下障害に対して改善効果を得られた点に関心を持って頂けた事は、この会で発表した甲斐があったと心から思いました。干渉波刺激装置は患者様に対する負担や侵襲はほぼ皆無であり、通常の嚥下訓練との相性も抜群ですので、パーキンソン症候群に対する治療効果については今後も有効性を検証していきたいと思っています。干渉波刺激装置は本年9月からは医療機器承認され、一般の病院でも利用が出来るようになりました。原理は下記に分かりやすくまとめてあるので、ご参照お願いします。

 

嚥下障害、新たな治療法開発 兵庫医科大、微弱電流あて脳に刺激
 
また今回の学術集会は、神経筋疾患の診療において問題となるテーマが目白押しで、各スペシャリストの先生方より神経筋疾患の摂食嚥下栄養診療のエッセンスをいくつも教えて頂く事が出来ました。特に本大会テーマであった「食のケアと服薬のケア」という、医師がややもすると見落としがちな視点にフォーカスがあてられており、「神経筋疾患診療における重要な気付き」を得る貴重な機会となりました。そして、良きチーム医療を実現するには個々の専門性を活かしながら、医師はもっと多くの視点を持って摂食嚥下栄養に取り組まなければならない事を良く理解出来ました。
 
会は大会長野﨑先生のご挨拶とともに、写真の様に夕焼けがかった神戸の絶景を、会場の皆様と一緒に眺めながらのファイナルとなりました。まさにJSDNNMの未来を展望できるような演出で、野﨑先生の素敵なおはからいに感銘しました。本学術集会で学んだ神経筋疾患診療の摂食嚥下栄養のコツを、当院の診療にしっかりと生かすことを胸に秘めて、岐阜に帰ってきました。
 
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追記:後日、野﨑先生より下記のような大変ご丁寧なお手紙を賜りました。学術集会の演者・座長のお一人ずつに、写真を添えられている素敵なお心遣いにまたまた感銘です。当院摂食嚥下リハ栄養の取り組みを一層充実させ、来年のJSDNNM学術集会でも取り組みを発表できるよう頑張ります!
 
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医療法人誠道会
各務原リハビリテーション病院
神経内科 和座 雅浩
 
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