前田圭介先生に摂食・嚥下障害に立ち向かう勇気と希望を頂きました!メインイメージ

前田圭介先生に摂食・嚥下障害に立ち向かう勇気と希望を頂きました!

去る12月5日土曜日、鵜沼福祉センターにて「第52回 鵜沼の輪にんじん会議」が開催されました。今回のテーマは患者数が急増している「摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎」でしたが、大変幸運にもご縁があって、この分野のスペシャリストであられる玉名地域保健医療センター、前田圭介先生をお招きする事が出来ました。前田先生は豊富な臨床経験を元に「とりあえずの禁食は嚥下機能さらには生命予後までも悪くする」という非常に重要な知見を見いだされた注目の先生です。

http://www.tamana-medical.com/medical/medicaloffice/

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03147_01

まず会は当院磯野理事長の挨拶から始まりました。主に鵜沼地域において誰もが住みなれた地域で尊厳ある生活を継続できるように、この地域の医療・福祉関係者と市民等で支援の輪をつくる事を目的に始まった会である事や、近年の医療介護の現場においては摂食嚥下の問題が非常に大きくなっていることなどの話がありました。当法人が年に一回担当しており「地域の皆様の住み慣れた生活を守る」為、出来るだけタイムリーな話題を提供するように心がけていますが、会は開始時から追加の椅子を用意しなければならないほど大入りで、やはり関心度が高いことが分かりまず安堵です。

 スクリーンショット 2015-12-21 09.12.04

今回私は座長を務める事になったのですが、その役目はまず講師の先生の御紹介です。本講演を前田先生よりご承諾頂いた時より、この分野での御活躍ぶりをリアルにお伝えする事が私の至上命題と思っていましたが、特にこの1年間のご業績はご紹介しきれない程多かったので、一般の方にも分かりやすく「摂食・嚥下障害診療の流れを変えた先生」である事をしっかりと強調させて頂きました。またプライベートではテニスの腕前もプロ級で、高校自体は鹿児島チャンピオンだったことも御紹介いたしました。前田先生にもちょっと照れくさそうに笑って頂けまして、座長は一安心です。

スクリーンショット 2015-12-17 07.45.24

前田先生のお話は、特に高齢者の場合には「食べる事自体が脳のリハビリになる」とのお話から始まりました。食べるという楽しみを維持する事はQOL向上、そして脳の廃用防止になっている事がよく分かり、口から食べる事の大切さを再認識できました。

スクリーンショット 2015-12-17 07.41.12

また健常者でも半分くらいは、睡眠中の唾液誤嚥が確認されていること(寝ている間につばが肺に入り込んでいる)のお話がありました。そして誤嚥性肺炎の発症は侵襲性と抵抗力のバランスで決まり、誤嚥している事実が即肺炎につながるわけではない事も分かりやすく説明されていました。

スクリーンショット 2015-12-17 16.01.46

摂食・嚥下障害の原疾患として、これまで多数を占めると言われてきた脳卒中や神経筋疾患のみでは説明できない、いわゆる加齢による摂食嚥下障害~老嚥が確実に増えてきており、かつ老嚥にはサルコペニア(筋肉減少症)の影響がかなり大きいとのお話には、私は大いに共感しました。当院でも栄養状態が改善する事で、嚥下機能も改善し食べられるようになった症例の経験は多数あり、これまでは「年だからもう食べられない」と諦められていた老嚥にも、サルコペニアのような是正可能な病態がある事は重要な視点です。またサルコペニアの治療には多職種の介入がとても重要である事を力説されており、当院でも実践していかなければと思いました。

スクリーンショット 2015-12-17 06.49.21

また摂食・嚥下障害の予防と治療には①リハビリ、②栄養、③口腔ケアの3本の柱であることを、実に分かりやすい例を交えながら説明されていました。例えばこんなユーモアたっぷりのスライドも交え(懐かしの高見山関の2倍、2倍!)、すいすいと頭の中にすり込まれていきます。 

スクリーンショット 2015-12-21 09.09.36

 さて今回の前田先生のご講演は、いかにも全身管理が強い消化器外科先生視点のお話で、局所の問題のみでなく広い視点を持たなければならないこと、医師としても再認識できました。特に高齢者の摂食・嚥下障害〜老嚥には、精神神経機能、口腔機能、嚥下機能、呼吸機能、全身機能、栄養状態などが複合的な要素として絡み合い、従来の臓器別のアプローチでは到底太刀打ちできないこと、そして多種多様な問題に対する正しい評価と介入が必要不可欠であることなど、とても勉強になりました。そんな中「NPO法人口から食べる幸せを守る会」理事長、小山 珠美先生が開発されたKT(口から食べる)バランスチャートの存在を教えて頂きました。

http://ktsm.jimdo.com/ごあいさつ/

このような摂食嚥下栄養を包括的に評価できるツールはこれまでに無く、まさに多職種でアプローチしていくには絶好のツールです。さっそく当院でも導入し、個々の患者様毎にきめ細やかな評価をスタッフ皆で行い、弱みを是正しかつ強みを活かしたアプローチをしていく事になりました。

 スクリーンショット 2015-12-17 16.15.28

今回は多岐にわたる摂食嚥下栄養医学のほぼ全てを網羅するようなご講演で、80分近くに及ぶ長丁場でしたが、一般参加の方もメモを熱心に取られながら話を最後まで聞かれるよ様子は座長席からよく分かり、前田先生のプレゼンテーション力に敬服しました。今回の勉強会の趣旨をお伝えしたところ「それなら是非前田先生を講師に!」と御紹介頂きましたフードケア鈴木様には、感謝の気持ちで一杯です。後日参加された当院患者様方から「とても楽しく摂食嚥下の勉強をさせて頂いた!」との喜びの声が、また当院スタッフ達からも「このような分かりやすい摂食嚥下のお話は初めて」と感銘してもらえ、座長は鼻高々でした(^^)。

スクリーンショット 2015-12-20 11.47.12

質疑応答での当院の岸本リハ主任とのディスカッションの様子です。彼は理学療法士として地域に出向き、介護予防や健康促進のための講演活動を行なっているのですが、自身の経験として「同じ高齢者でも地域によって運動に対する好奇心は違い、その土地の風習や文化なども少なからず影響しているのではないか?」と感じていたそうです。彼は「もしかしたら誤嚥性肺炎の発症率も食文化の違いなどによって変わるんだろうか?」という質問をしたところ、前田先生よりその可能性は十分に有り、東日本大震災後の避難生活中の発症状況を実例として説明して頂き、彼はとても納得出来たとの事でした。地域へのリハ介入をしていくには、やはりその地域毎の運動習慣・食習慣などの環境因子の把握も重要である事を再認識出来たとの事でした。

スクリーンショット 2015-12-21 09.00.59

まだまだ「前田先生のお話をみんなで実践し、各務原鵜沼地区は元気に口から食べられる人が多いと言われるようなりましょう!」を閉会の言葉とさせて頂きました。

スクリーンショット 2015-12-17 06.52.39

前田先生を囲んで磯野理事長と3人でスリーショットです。今回は地域の方々にも多くご参加頂け、摂食嚥下栄養の取り組みの重要性を広められた事、磯野理事長と心より安堵しました。また大垣中央病院にてNST認定ナースとして活躍されている茨木様にもご参加頂きました。 前田先生とはお知り合いでわざわざ大垣から駆けつけて下さったとのこと、とても嬉しく思いました。多くの方に御支援頂き、大盛況のうちに会を終えることができましたこと、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

スクリーンショット 2015-12-20 08.16.19

ご講演後は、当院摂食嚥下栄養メンバーの作戦会議にお付き合い頂き、診療における実践的なアドバイスを色々と、またそれぞれの専門職個別の特有の悩みも親身に聞いて頂く事が出来ました。前田先生にこのように直接御相談出来るチャンスは二度と無いこと分かっていましたので、お帰りの飛行機を気にする当院スタッフの心配をよそに(笑)、粘りに粘ってお時間を頂きました。若いスタッフ達が生き生きとしていた表情で、前田先生のご指導を受ける様子はとても頼もしく思えました。

 スクリーンショット 2015-12-17 15.53.08

最後に前田先生を囲んでの記念写真です。当医療圏の摂食嚥下栄養の啓蒙活動に多大な御支援を下さいましたこと、また私達当院の摂食嚥下栄養に関わるスタッフにも摂食・嚥下障害に立ち向かう勇気と希望を与えて下さいましたこと、心から感謝申し上げます。前田先生のサクセスストーリーをお手本に「口から食べるを支える」真のプロ集団となれるようみんなで頑張ります!

前田先生ご講演4

医療法人誠道会
各務原リハビリテーション病院
神経内科 和座 雅浩

ページトップへ移動