神経内科・摂食嚥下マインド☆の重要性を共同レッスンさせて頂きました!!メインイメージ

神経内科・摂食嚥下マインド☆の重要性を共同レッスンさせて頂きました!!

先日、神戸国際会議場で開催されました日本神経学会学術集会に参加して参りましたので、ここにレポート致します。今回のメインテーマは「なおる神経内科をめざして」、難病の多い神経内科疾患でも、治療につながる基礎研究・臨床研究の演題が、いつも以上に多い会となりました。また最終日は、第7回日本ニューロリハビリテーション学会学術集会と同時開催で、医用工学なども含めたリハビリテーションを強く意識した学術集会となり、リハビリテーション病院に勤務する神経内科医としては絶好の向学の場となりました。

第57回日本神経学会学術大会
https://www.neurology-jp.org/sokaitiho/neuro2016/

今回は「当院ニューロリハの名参謀☆」との一緒に参加して参りました。彼の活躍ぶりの様子は別でアップしてありますので、そちらも是非ご覧下さいませ。

http://www.seidoukai.or.jp/reha/blog/8620.html

会期中は晴れ男の私らしく、連日の快晴日となりました。「私が行くところは晴れ、去ったところは雨が降る」が続いていて、その晴れ男ぶりは当院では有名になっているそうです(^^;)。確かに私が参加するイベントは「何故か?快晴」となる事は以前からそうでして、雨対策要員(笑)として駆り出されたこと、しばしばでした。

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さて、今回の学会の私のミッションは、生涯教育セミナー「神経疾患の摂食嚥下障害 病態と対策」なるセッションにて、電気・磁気を利用した嚥下ニューロリハのトレンドをお伝えすることでした。これは関西労災病院、野﨑園子先生の「摂食嚥下リハビリテーションは、複数の診療科やメディカルスタッフとのチーム医療であるが、主治医の立場にある神経内科医が各疾患の摂食嚥下障害の病態を理解し、各専門職の役割と最新の知見に精通していること必要でカギとなる」とのお考えで、オーガナイズされたセッションです。「摂食嚥下が問題となる神経内科疾患の充実には、神経内科の摂食嚥下マインド☆を覚醒させたい!」と意図を、強く感じるテーマだと思いました。

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実は、野﨑先生からこの講演のご依頼を頂いた時、「こちらが教えて頂きたいのですが、、、(–;)」が正直な気持ちでした。しかし、お褒め上手の野﨑先生の「多くの医療職の方が、特に神経内科領域の摂食嚥下障害の臨床と研究に興味を持っていただき、ご一緒にこの領域の医療を発展させて頂きたく、是非先生のお力添えを」との殺し文句にはイチコロで、同じ神経内科医として、私のような者でもお役に立てればと己を奮い立たせて(奮い立たされて?)、お引受けすることとなりました。ただ、一般演題としての発表とは異なり、この手のセッションでは聴講者に「勉強になった!、為になった!!」とおしゃって頂くようなお話をする必要があり、当日を迎えるまでのプレッシャーは尋常でなく、レッスンする側の大変さを改めて知ることになりました(゚_゚;)。

会は定刻の朝8時の少し前に、野﨑先生のオープニングリマークでスタートとなりました。実は野﨑先生、この会終了後すぐに、離れた別の会場でのセッションでも座長をおつとめられるとういう強行スケジュールとの事、何としても時間通りに終わる必要があられたそうです。御高名な先生となると、学会期間中は大変お忙しいものだと分かりました。「生涯教育セミナー」は全て予約制で、このセッションのチケットは事前に完売との事でしたが、席は半分も埋まればとの事前情報もありましたが、朝早くからの開始とのことでで出だしこそは空席もありましたが、8時過ぎにはあっと言う間に満席になり、私の緊張は一気にマックスに達することになりました(-_-;)。

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トップバッターは京都第一赤十字病院の巨島文子先生で、「脳卒中の摂食嚥下障害」のお話でした。巨島先生は摂食嚥下の第一人者のお一人であられ、そのやさしい語り口調は、とても気持ちよく頭に染み渡ることで有名な先生です。脳卒中嚥下障害の中でも、特にワレンベルグ症候群の病態理解とアプローチは大変勉強になり、その深い洞察は、早速当院の嚥下アプローチに活かしたいと思いました。また、脳卒中後嚥下障害に経頭蓋直流電気刺激法が奏功するとのお話もされ、同じ取り組みをしている私達にとっては、大変心強いお話ともなりました。

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セカンドバッターは国立病院機構高松医療センターの市原典子先生です。市原先生は、嚥下造影検査(VF)の動画を提示されながら、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の摂食・嚥下障害のレクチャーは、大変分かりやすく、聴講者は食い入るようにスライドを凝視されていました。市原先生のALS摂食・嚥下障害の包括的なマネイジメントは大変実践的で、豊富な臨床経験に基づくお話は何より説得力がありました。病期に合わせてもっとするべき事がある事がよく分かり、当院でも早速実践いくことに致しました。

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3番バッターは、近畿医科大学の平野牧人先生で、お題は「パーキンソン病と多系統萎縮症の嚥下障害」でした。パーキンソン病嚥下障害の理解と、またロチゴチン(ニュープロパッチ®)というパーキンソン病のお薬を上手く使うコツは、即真似させて頂きたいと思いました。なお平野先生のこの臨床研究は昨年に「Dysphagia」という嚥下医学では最も権威ある国際誌に掲載されています。平野先生のパーキンソン病嚥下障害のスタディは、当院の臨床研究のお手本にさせて頂きたいと思いました。

Rotigotine Transdermal Patch Improves Swallowing in Dysphagic Patients with Parkinson’s Disease.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25966655

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4番バッターは、私ですが、まさに野球でいう「たまたま順番が4番目」の役割ですので、くれぐれも誤解無きようお願い致しますm(__)m。当院では電気刺激機器を利用したニューロリハに力を入れており、先行研究を引用しながらこの分野のトピックスと、そして当院の実施例についてお話させて頂きました。「オーガナイザー野﨑先生のご期待にお応えしなければ!」の思いが空回りにしないよう、抑え気味でスタートしました。電気・磁気刺激の機器を摂食嚥下障害のリハビリテーションに応用する試みは、今回は臨床応用を意識しまして、「国内で実施可能な嚥下ニューロリハという視点」で、中枢刺激法と末梢刺激法に分け、各機器ごとにお話することに致しました。

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代表的な中枢刺激法は、rTMSと呼ばれる磁気刺激法です。嚥下障害に対するrTMSの応用については東京慈恵会医科大学リハビリテーション科の百崎良先生らが、先進的な取り組みをされておりまして、そのスタディを御紹介させて頂きました。百崎先生は、嚥下ニューロリハ研究において数多くのご業績を残されている先生で、論文ではお名前をよく拝見しており、この講演時には是非引用させて頂きたいと思っていました。まったく面識もない私ではありましたが、この会の趣旨にご賛同下さいまして、データとスライドを提示する事を、御快諾頂けました。本当に有り難うございました。

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電気による中枢刺激法は、その簡便性と安全性より、種々の脳神経疾患のリハビリテーションにおいて臨床応用されつつある経頭蓋直流電気刺激(tDCS)です。嚥下障害に対するtDCSの有効性は、浜松市リハビリテーション病院の重松孝先生のスタディを、そのまま借用させて頂きました。重松先生は、当院の立ち上げ時よりリハビリテーション診療を御指導頂いておりまして、院内ブログにも何度もご登場頂いています。

岐阜脳神経フォーラム2014年~重松孝先生に岐阜嚥下診療を盛り上げて頂きました!
http://www.seidoukai.or.jp/reha/blog/2284.html

重松先生からはスタディのデータとともに、症例のVF動画もお借りできましたので、浜松市リハビリテーション病院スタッフ様の「おー」の肉声付で提示させて頂きましたが、聴講者方々も、同じ「おー、おー、おーー」の反応をされていて、tDCS効果はよくご理解頂けたと確信できました。さすが私の嚥下ニューロリハの師匠だと、改めて思いました(^o^)。

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末梢刺激法は、まず低周波パルス刺激法として普及してきているバイタルスティム®と呼ばれる機器についてお話させて頂きました。この機器を用いた嚥下ニューロリハは、浜松市リハビリテーション病院の國枝顕二郎のstudyを中心に御紹介させて頂きましたが、以前お聞かせ頂きました國枝先生のユーモア&センスが光るプレゼンは大変印象に残っておりまして、このような会では是非引用したいと決めておりました(^^)。バイタルスティム®については、数多くの先行研究がありますが、國枝先生はそれらをエレガントにまとめられており、大変参考になりました。さすが重松先生と同じく、日本一の嚥下リハビリテーション病院で研鑽された先生だと思いました。

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当院が取り組んでいる干渉波刺激装置については、ここでも何度も紹介しておりますが、今回は集積出来た症例の解析と、今後の活用法についてお話させて頂きました。

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これは頸部血管病変のスペシャリストのお一人である松波総合病院脳神経外科、澤田元史先生が作成されました頸部の神経・血管解剖図ですが、干渉波刺激装置がターゲットとしている上喉頭神経(メインの嚥下感覚神経)は最深部に位置しており、この機器の利点を一発でご理解して頂くためには絶好のスライドで、そのまま利用させて頂きました。聴講の皆様の反応からも、さすがプレゼンもスペシャルであられる澤田先生のスライドだと分かり、今後も活用させて頂きたいと思いました。

上喉頭神経解剖スライド

脳卒中後嚥下障害症例の自験例データ、そして、重度の嚥下障害が遷延しながらも、干渉波刺激を利用したアドオンリハで改善した症例集を順に提示していきました。改善された症例をこのようにご紹介出来ること、主治医冥利につきます。

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また、電気刺激・磁気刺激が神経細胞に好影響を及ぼす根拠については、最新の研究成果も交えて考察しました。基礎研究、臨床研究ともこの数年で随分進歩していると改めて思いました。

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特に進行性の神経筋疾患の場合、続発する誤嚥性肺炎の抑止・コントロールが生命予後を大きく左右することは周知の事実ではありますが、こうした機器を上手く活用し、安全に経口摂取が出来る期間を延長させることができれば、QOLおよび予後を改善することが出来るのではとの私見も述べさせて頂きました。

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最後には、当院の診療&臨床研究におきまして、多大な御支援&御指導を賜っている各医療機関・研究機関の先生方への謝意を、この場をお借りしまして深く御礼申し上げました。また当院の摂食嚥下臨床研究は、LEDT、兵藤スコア、藤島の摂食状況レベル(FILS)などの臨床意義の高い定量法をフル活用させて頂いておりますが、これらは国内の摂食嚥下分野のスペシャリスト先生方が、この分野の発展のため考案されたものです。その恩恵を授かっておりますこと、改めて感謝の気持ちで一杯になりました。当院の摂食嚥下診療レベルアップのため、志を同じくして日々奮闘してくれている仲間達にも、心から敬意を表したいと思います。

謝辞

ラストは、オーガナイザー野﨑先生のご講演です。野﨑先生は、まさに神経内科視点の摂食嚥下エビデンスを構築されましたパイオニア的先生であられ、私はパーキンソン病をはじめ神経内科疾患の嚥下障害を、野﨑先生のご執筆の論文・書籍で勉強させて頂きました。お題は「薬剤と嚥下障害」で、盲点になりがちながらも、摂食嚥下診療では欠かすことが出来ない事項を、いくつも分かりやすくレッスンして頂きました。その中でも、主成分が同じ薬剤でも配合成分が違うと、全く異なるを動態を示された動画は大変衝撃的で、私の脳裡に鮮明に焼き付きました。また「服薬管理におけるチームアプローチは、摂食・嚥下障害患者様においては一層重要である」との野﨑先生からのメッセージは、何より説得力があり、他の神経内科先生方にお伝えしたかった事だと分かりました。そして神経内科においても摂食嚥下診療の充実には、「患者さん食べてもらいたい!」との摂食嚥下マインド☆がやはり大切で、もっともっと勉強しなければならない事を再認識させて頂くことが出来ました。

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この教育コースの最後は、立ち見が出るほどの大入りで終了となり、聴講された先生方も、とてもいい勉強になったの満足のご表情でした。合計5演題・120分に及ぶ教育セミナーでしたが、私以外の先生方は「まさに、プロフェショナルここにあり!」のプレゼンで、あっと言う間に終わってしまったというのが、皆様の感想ではないでしょうか。

講師先生方と、ご一緒させて頂きました記念写真です。神経内科アプローチから摂食嚥下臨床研究で多くの業績を残され、まさに神経内科医・摂食嚥下マインド☆を背中で教えて頂きました先生方とご一緒に、セミナーを担当させて頂けましたこと私は大変嬉しく、貴重な経験とさせて頂くことが出来ました。これからも神経内科・摂食嚥下マインド☆を大切にして、日々の診療を頑張ります!!!

講師集合写真①

医療法人誠道会
各務原リハビリテーション病院
副院長・神経内科 和座 雅浩

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