まだ暑いのに…岐阜県でもインフルエンザ流行中|学校でも注意したい家庭での対策

まだ暑さの残る9月ですが、岐阜県でもインフルエンザの流行が始まっています。 今年は例年より少し早く、県内では学級閉鎖の措置が取られるなど、学校現場でも注意が呼びかけられています。 残暑の中で体調を崩しやすくなるこの時期、特に子どもや高齢の方は感染リスクが高まります。 今回は、地域の医療機関として、家庭でできる予防のポイントや受診の目安について、最新の情報をもとにわかりやすくお伝えします。
岐阜県でもインフルエンザ流行中|今年はなぜ早い?
2025年9月現在、岐阜県でもインフルエンザの流行が始まっています。 例年は10月以降に増え始める傾向がありますが、今年は残暑が続く中で早期の患者報告が見られ、学校では学級閉鎖の措置も取られています。
この時期の流行にはいくつかの要因が考えられます。
- 気温の変化による体調の不安定さ
- 冷房による乾燥環境
- 夏の疲れが残ることで免疫力が低下しやすいこと 特に子どもは集団生活の中で感染が広がりやすく、学校や家庭での予防が重要になります。
インフルエンザって?|症状・感染経路・注意点
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる急性の呼吸器感染症です。 毎年冬に流行しますが、今年のように早い時期から広がることもあります。
主な症状
- 急な高熱(38℃以上)
- 咳、のどの痛み、頭痛、全身の倦怠感
- 通常の風邪よりも症状が強く、急激に悪化することがあります
感染経路
- 飛沫感染:咳やくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことで感染
- 接触感染:ウイルスが付着した手や物を介して口や鼻に触れることで感染
重症化しやすい方
- 乳幼児(特に5歳以下):免疫が未発達で、インフルエンザ脳症などの合併症リスクあり
- 高齢者(65歳以上):肺炎などの合併症を起こしやすく、症状が目立ちにくいことも
- 持病のある方:喘息・心疾患・糖尿病などがあると、ウイルスへの抵抗力が弱くなりがち
感染しやすい場所と理由
- 保育園・幼稚園・小学校:距離が近く、共用物が多いため接触感染のリスクが高い
- 通勤・通学の電車・バス:混雑時は距離が取れず、飛沫感染のリスクが高まる
- 職場・オフィス:長時間同じ空間で過ごすため、空気中のウイルスが滞留しやすい
- 高齢者施設・医療機関の待合室:重症化リスクの高い方が多く、感染拡大を防ぐ工夫が必要
家庭でできる予防のポイント|今すぐ始めたい3つの習慣
インフルエンザは、家庭内でも感染が広がりやすい病気です。 特に乳幼児や高齢者がいるご家庭では、日常の予防習慣が重症化のリスクを下げる大切な手段になります。
手洗い・うがいを習慣に
行動 | 方法 | 理由 |
手洗い | 石けんで20秒以上、指の間・爪の周りまでしっかり洗う | ウイルスを物理的に除去するため |
うがい(水・緑茶・紅茶) | 外出後すぐに/冷ましたお茶を使用 | 粘膜を潤し、ウイルスの侵入を防ぐ/カテキンなどの抗ウイルス作用が期待できる |
🔍補足ポイント
- 緑茶や紅茶には殺菌・抗ウイルス作用があり、うがいにおすすめ
- 麦茶やほうじ茶はカテキンが少ないため、うがいには不向き
- 高齢者や4歳以下の子どもは誤嚥のリスクがあるため、水うがいが安全
部屋の換気と加湿を意識する
現在は真夏ほどの高温ではないものの、湿度が高めで蒸し暑さを感じる時期。 それでもインフルエンザ予防には「換気」と「加湿」が重要です。 なぜなら、室内の空気環境が粘膜の防御力に大きく影響するからです。
✅なぜ換気と加湿が必要なの?
- インフルエンザウイルスは乾燥した空気で長く生存しやすくなる
- のどや鼻の粘膜が乾燥すると、ウイルスの侵入を防ぐ力が弱まる
- 室内の空気がこもると、飛沫や接触による感染が広がりやすくなる
✅換気の方法と理由
方法
- 1日2~3回、窓を2方向開けて5~10分程度
- 換気扇や空気清浄機も併用すると効果的
理由
- 空気中のウイルスを外に逃がす
- 室内の空気を入れ替え、感染リスクを下げる
✅加湿の方法と理由
方法
- 湿度は50~60%を目安に保つ
- 加湿器、濡れタオル、洗濯物の室内干しなどで調整
- 湿度が高い日でも、エアコン使用時は室内が乾燥しやすいため加湿が必要
理由
- 粘膜を潤し、ウイルスの侵入を防ぐ
- 乾燥状態ではウイルスが活性化しやすくなる
⚠️注意点
- 湿度が高い日でも、冷房や除湿で室内が乾燥することがある
- 加湿器はこまめな水の交換・清掃が必要(雑菌対策)
- 湿度計があると管理しやすく、安心感もアップ!
体調管理を整える
✅方法
- 睡眠をしっかりとる(目安は7~8時間)
- バランスの良い食事で免疫力を維持
- 適度な運動で体力を保つ
- 体調が悪いときは無理せず休む
✅理由
- 免疫力が下がると、ウイルスに感染しやすくなる
- 疲れやストレスも感染リスクを高める要因に
この3つの習慣を家族みんなで意識することで、インフルエンザの予防効果がぐっと高まります!
受診の目安
インフルエンザは、症状が急激に悪化することがあるため、早い段階での受診判断が重症化を防ぐカギになります。 特に乳幼児や高齢者、持病のある方は、「様子を見る」より「迷ったら相談」が安心です。
受診をためらわず相談してほしい症状
以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関へ連絡・受診を検討してください
- 高熱が続いている(38℃以上が2日以上)
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている
- 意識がぼんやりしている、反応が鈍い
- 水分が取れず、ぐったりしている
- けいれんや異常行動が見られる(特に乳幼児)
受診時の注意点
- 発熱・咳・のどの痛みなどの症状がある場合は、必ず事前に電話等で連絡を → 他の患者さんや医療スタッフへの感染を防ぐための重要な配慮です
- マスク着用・手指消毒を徹底しましょう
- 付き添いは最小限に。待合室での混雑を避けるためにもご協力ください
予防接種のタイミングと効果
インフルエンザ予防接種は、重症化を防ぐための大切な手段です。 特に乳幼児、高齢者、持病のある方は、発症そのものよりも合併症や重症化の予防が目的になります。
接種のタイミング
- 接種開始の目安:毎年10月上旬~中旬ごろ
- 効果が出るまでの期間:接種後約2週間
- 持続期間:約5か月間(流行期をカバー)
→ 流行が始まる前の接種が効果的。11月中旬までに済ませるのが理想です

予防接種の効果
- 発症を完全に防ぐものではないが、発症しても重症化を防ぐ効果が高い
- 肺炎・脳症などの合併症リスクを下げる
- 家族内での感染拡大を防ぐ役割もある
接種をおすすめしたい方
- 乳幼児(特に6か月~小学低学年)
- 高齢者(65歳以上)
- 持病のある方(喘息・糖尿病など)
- 妊娠中の方
- 医療・介護・教育など人と接する機会が多い方
家庭内で感染者が出たときの対策ポイント
インフルエンザは、家庭内での接触や共有物を通じて感染が広がりやすい病気です。 感染者が出た場合は、家族内での感染拡大を防ぐための具体的な対策が必要になります。 特に子どもや高齢者がいる家庭では、日常のちょっとした配慮が予防につながります。
行動 | 方法 | 目的 |
共有物 の扱い | タオル・食器・コップは個別に使用/ドアノブ・リモコンなどはこまめに消毒 | 接触感染の予防 |
マスク の活用 | 感染者・看病者ともにマスクを着用 | 飛沫感染の予防 |
手洗い・ うがい | 家族全員がこまめに実施/外出後・食事前・トイレ後に特に意識 | ウイルスの除去と粘膜の保護 |
換気と 加湿 | 1日数回の換気/湿度50~60%を維持/エアコン使用時は特に注意 | 空気中のウイルスの滞留防止と粘膜の保護 |
看病時 の注意 | 看病はできるだけ1人に限定/使用済みマスクやティッシュは密閉して廃棄 | 家族内での感染拡大防止 |
登園・登校の判断と連絡のポイント
インフルエンザは、発症後すぐに感染力が高くなるため、登園・登校の判断は慎重に行う必要があります。 保護者が迷いやすいポイントを整理し、園や学校とのスムーズな連携をサポートします。
登園・登校の判断
✅以下の条件を満たすまでは、登園・登校を控えましょう
- 発症後5日を経過している
- 解熱後2日以上が経過している(幼児は3日以上) → これは学校保健安全法に基づく出席停止期間の目安です
連絡のポイント
- 発症がわかった時点で、速やかに園・学校へ連絡を
- 連絡時には以下の情報を伝えるとスムーズです
- 発症日と症状の経過
- 医療機関の受診状況
- 今後の見通し(休む期間の目安など)
注意
- 連絡方法や必要書類(治癒証明・登校許可証など)は、園や学校によって異なる場合があります
- 事前に園・学校のルールを確認しておくと安心です
地域の皆様へ
各務原リハビリテーション病院では、初めての方でもご予約なしで診療を受けていただけます。 ただし、事前にお電話やオンライン予約をご利用いただくと、よりスムーズにご案内できます。
また、発熱・咳・のどの痛みなどの症状がある場合は、感染予防のため、事前にお電話でのご相談やオンライン予約をお願いしております。 お子さまや他の患者さまが安心してご利用いただけるよう、皆さまのご協力をお願い申し上げます。
なお、インフルエンザワクチンは10月1日より接種を開始いたします。 当院では、注射が苦手なお子さまにも配慮し、経鼻ワクチン(フルミスト)にも対応しております。 接種の詳細については、決まり次第ホームページでもお知らせいたしますので、ぜひご確認ください。
地域の皆さまが安心して秋を過ごせるよう、今後もわかりやすく、実践的な医療情報を発信してまいります。 どうぞ健やかにお過ごしください。
🔗関連リンク(厚生労働省)
- 令和6年度 インフルエンザ総合対策|厚生労働省
→ 予防接種の方針や流行状況、重症化リスクへの対応などを掲載 - 令和6年度 インフルエンザQ&A|厚生労働省
→ 症状の違い、予防法、治療薬、ワクチンの効果などをQ&A形式で解説
監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当
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