RSウイルス流行中!秋に増える子どもの感染症とは

朝晩の空気がひんやりと感じられるようになり、秋の訪れを感じる季節になりました。 そんな中、「咳が長引いている」「鼻水が止まらない」「元気がない」——お子さまの体調に不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
秋は、RSウイルスやマイコプラズマ肺炎など、子どもに多い感染症が流行しやすい時期です。 一見すると風邪や季節の変わり目による不調に見える症状でも、感染症が隠れていることがあります。
今回は、秋に増える子どもの感染症について、症状の特徴や見極め方、受診の目安をわかりやすくご紹介します。 また、当院で実施している予防接種についてもご案内いたします。
秋に増える子どもの感染症とその特徴
RSウイルス感染症(乳幼児に多い)
- 主に0〜3歳の乳幼児に多く、初感染時は重症化しやすい傾向があります
- 症状は鼻水・咳・微熱から始まり、進行するとゼーゼーとした呼吸音(喘鳴)・呼吸困難・食欲不振などが見られます
- 発熱が目立たない場合も多く、「元気がない」「呼吸が苦しそう」といった様子が重要なサインになります
- 特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんでは、無呼吸発作や中耳炎・急性脳症などの合併症にも注意が必要です2
マイコプラズマ肺炎(学童期に多い)
- 主に5〜12歳の小学生〜中学生に多く、乾いた咳が長引くのが特徴です
- 発熱は微熱〜38℃台が続くことが多く、高熱になるケースもありますが、目立たないこともあります
- 咳は夜間に悪化しやすく、眠れない・食欲が落ちるなどの症状が出ることも
- 通常の風邪薬では改善しにくく、抗菌薬による治療が必要になる場合があります
発熱の傾向まとめ
| 疾患名 | 発熱の有無・特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| RSウイルス感染症 | 微熱〜高熱まで幅広いが、高熱が出ないことも多い2 | 初感染の乳幼児では重症化しやすく、発熱+呼吸症状が強く出ることも |
| マイコプラズマ肺炎 | 微熱〜38℃台の発熱が続くことが多いが、高熱になるケースもある | 咳が長引くのが主症状。発熱はあっても目立たないこともある |
秋バテとの違いを見極めるポイント
| 症状 | RSウイルス・マイコプラズマ肺炎 | 秋バテ |
|---|---|---|
| 発熱 | 微熱〜高熱(※ない場合も) | ほぼなし |
| 咳 | 持続的・悪化しやすい | 一時的・軽度 |
| 呼吸の変化 | ゼーゼー・息苦しさ | なし |
| 食欲不振 | 急激に落ちる | 徐々に減退 |
| 倦怠感 | 強く、動きたがらない | なんとなく元気がない |
※「熱がないから大丈夫」と思い込まず、咳・呼吸・食欲・元気の様子を総合的に見て判断することが大切です。
🔗 厚生労働省の関連ページリンク
より詳しい情報は、厚生労働省が公開している以下のページも参考になります:
・RSウイルス感染症|厚生労働省
・マイコプラズマ肺炎|厚生労働省
保護者向け「受診の目安」チェックリスト
お子さまの体調が気になるとき、「様子を見るべきか」「すぐに受診すべきか」迷うこともあるかと思います。 以下のような症状が見られる場合は、感染症の可能性も考えられるため、早めの受診をご検討ください。
チェックリスト
- □ 咳が3日以上続いている
- □ 呼吸がゼーゼー・ヒューヒューしている
- □ 夜間に咳で眠れない・何度も起きる
- □ 食欲が急に落ちた/水分もとりにくい
- □ 顔色が悪く、ぐったりしている
- □ 保育園・学校で感染症が流行している
- □ 発熱が高く、下がってもすぐ上がる
- □ 咳が乾いていて、長引いている(1週間以上)
※特に、呼吸の変化や食欲不振、ぐったりしている様子がある場合は、早めの受診が安心につながります。
予防とワクチン接種のご案内
秋は気温差や乾燥によって、子どもの体調が不安定になりやすい季節です。 感染症の予防には、日常生活のちょっとした工夫が効果的です。
家庭でできる感染症予防策(実用性+納得感を強化)
1. 手洗いは“遊び感覚”で習慣化
- 石けんを使って「手のひら・甲・指の間・爪の先・手首」まで丁寧に洗う
- 小さなお子さんには「手洗い歌」や「スタンプでチェック」など、楽しく取り組める工夫を
- 外出後・食事前・トイレ後など、タイミングを決めてルーティン化
2. 室内環境の整備:空気と湿度の管理
- 換気は「1時間に5〜10分を複数回」がおすすめ。対角線の窓を開けると効率的
- 加湿器や濡れタオルで湿度を50〜60%に保つと、ウイルスの活動を抑えられる
- 空気清浄機(HEPAフィルター付き)も活用すると安心感が高まる
3. 水分補給は“常温”でこまめに
- 喉の粘膜を潤すことで、ウイルスの侵入を防ぐ働きが期待できる
- 冷たい飲み物は胃腸を冷やすため、常温の水や麦茶がおすすめ
- 食事以外のタイミングでも「一口ずつ」を意識
4. 免疫力を高める生活習慣
- 栄養バランスの取れた食事(タンパク質・ビタミン・発酵食品など)
- 十分な睡眠と、決まった時間に寝ることで自律神経の安定を促す
- 軽い運動(散歩・体操)で血流を促進し、体温と代謝を上げる
- 入浴はぬるめのお湯で副交感神経を刺激し、リラックス効果も
5. 家庭内の衛生管理
- ドアノブ・リモコン・テーブルなど、手が触れる場所は定期的に消毒
- タオルや食器は個別に使用し、毎日洗濯・洗浄を
- 帰宅後は「手洗い+着替え」でウイルスの持ち込みを防ぐ
ワクチン接種のご案内
各務原リハビリテーション病院では、RSウイルスや肺炎球菌などの感染症予防に向けた各種ワクチン接種を実施しています。 予防接種は、感染拡大を防ぐだけでなく、重症化リスクの軽減にもつながります。
接種スケジュールや対象年齢については、受付またはお電話でお気軽にご相談ください。 ご希望の方には、接種前の体調確認やスケジュール調整も丁寧に対応いたします。
各務原リハビリテーション病院
お問い合わせ:058-384-8485(8:30~17:15)

地域の皆さまへ、安心を届けることを丁寧に
秋は、気温差や空気の乾燥によって、子どもの体調が不安定になりやすい季節です。 咳や発熱が続くとき、「風邪かな?」「様子を見ても大丈夫?」と迷われることもあるかと思います。
RSウイルス感染症やマイコプラズマ肺炎は、発熱が目立たない場合でも進行することがあり、早めの対応が重症化の予防につながります。 「少し気になるな」と感じた時点で、どうぞお気軽にご相談ください。
各務原リハビリテーション病院では、診察はもちろん、感染症予防に向けた各種ワクチン接種も実施しています。地域の皆さまの安心のために、私たちができることを、これからも一つひとつ丁寧に取り組んでまいります。
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監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当

