秋に悪化しやすい高血圧・糖尿病、今こそ生活習慣を見直そう

朝晩の空気がひんやりと感じられる季節になりました。過ごしやすい反面、「最近なんだか体がだるい」「血圧が高めになってきた」「健診で血糖値を指摘された」など、体調の変化を感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、秋は高血圧や糖尿病といった生活習慣病が悪化しやすい季節です。寒暖差による血圧の変動や、食欲の秋にともなう食生活の変化が、体に思わぬ影響を与えることがあります。

今回は、秋に気をつけたい高血圧・糖尿病のポイントと、日常生活でできる予防・改善のヒントをご紹介します。ご自身やご家族の健康管理に、ぜひお役立てください。

高血圧の方が秋に気をつけたいこと

秋は朝晩の寒暖差が大きくなり、血管や自律神経に負担がかかる季節です。特に高血圧の方は、寒冷刺激による末梢血管の収縮や、交感神経の緊張によって血圧が上昇しやすくなります。こうした生理的反応は、早朝や入浴前後などの急激な温度変化で顕著に現れます。

さらに、秋は鍋料理や漬物など塩分の多い食事が増える傾向があり、ナトリウム摂取量の増加が血圧コントロールを妨げる要因となります。これらの環境的・生活的要因が重なることで、血圧の変動幅が大きくなり、脳卒中や心血管イベントのリスクが高まる可能性もあるため注意が必要です。

秋の高血圧対策ポイント

  • 起床時はゆっくりと動き出す
    → 寒冷刺激により交感神経が優位になり、血圧が急上昇することがあります。起床後は布団の中で軽く体を動かしてから、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。
  • 防寒対策を徹底する
    → 特に首元・手足などの末梢部位を冷やさないことが重要です。寒さによる末梢血管の収縮は、血圧上昇の引き金になります。室内でも薄手の重ね着やレッグウォーマーなどを活用しましょう。
  • 塩分摂取量を意識する
    → 秋は鍋料理や漬物など、塩分の多い食事が増えがちです。ナトリウム過剰は血圧上昇の主要因となるため、だしや香味野菜を活用して減塩を心がけましょう。1日の塩分摂取目安は6g未満が推奨されています(日本高血圧学会)。
  • 血圧の定期測定を習慣化する
    → 朝晩の血圧を記録することで、季節による変動や生活習慣の影響を把握しやすくなります。ご自身の「傾向」を知ることが、予防と早期対応につながります。

日本高血圧学会では、高血圧の方の減塩目標を「1日6g未満」と推奨しています。詳しくは日本高血圧学会 減塩・栄養委員会のページをご覧ください。

糖尿病の方が秋に気をつけたいこと

秋は「食欲の秋」と呼ばれるように、旬の食材が豊富で食事の楽しみが増す季節です。しかし、糖尿病の方にとっては、糖質摂取量の増加や血糖変動のリスクが高まる時期でもあります。

さつまいも、栗、果物などは食物繊維やビタミンを含む一方で、グリセミックインデックス(GI値)が高く、血糖値の急上昇を招く可能性があります。特に空腹時や主食と組み合わせた摂取では、血糖コントロールが難しくなることがあります。

また、気温の低下により体温調節機能が働き、自律神経のバランスが崩れやすくなります。これに加えて、寒さによる活動量の低下はインスリン感受性の低下を招き、インスリン抵抗性の増加や血糖値の不安定化につながることもあります。

こうした季節性の変化は、日々の生活習慣に工夫を加えることで予防・改善が可能です。次の項目では、秋に実践しやすい糖尿病対策をご紹介します。

秋の糖尿病対策ポイント

  • 食材の選び方と摂取タイミングを工夫する
    → 果物やいも類は、ビタミン・食物繊維が豊富ですが、**糖質量とグリセミックインデックス(GI値)**が高めのものも多く、血糖値の急上昇を招くことがあります。食後に少量を摂る、主食と重ねないなど、食事の順序と組み合わせを意識しましょう。
  • 食物繊維を先に摂る「ベジファースト」を実践する
    → 野菜やきのこ類に含まれる不溶性・水溶性食物繊維は、糖の吸収を緩やかにし、食後高血糖の抑制に有効です。食事の最初に野菜を摂ることで、血糖値の安定につながります。
  • 運動習慣を維持し、インスリン感受性を高める
    → 気温の低下で活動量が減ると、筋肉による糖の取り込みが低下し、インスリン抵抗性が高まる傾向があります。室内でのストレッチや軽い筋トレ、ウォーキングなどを継続することで、血糖コントロールの改善が期待できます。
  • 血糖値の定期測定と記録を行う
    → 食事・運動・体調の変化と血糖値の関係を把握することで、自己管理の精度が向上します。記録は医師との相談にも役立ち、治療方針の調整にもつながります。
  • 体調の変化に敏感になる
    → 「疲れやすい」「口渇」「頻尿」「傷の治りが遅い」などの症状は、高血糖状態のサインである可能性があります。軽度でも放置せず、早めの受診を心がけましょう。

糖尿病の食事療法については、厚生労働省の「e-ヘルスネット」でも、一般の方向けにわかりやすく解説されています。特別な食事ではなく、バランスの良い規則正しい食事が基本であることが強調されています。
詳しくはe-ヘルスネット「糖尿病の食事」をご覧ください。
また、より専門的な内容を知りたい方は、日本糖尿病学会が発行する「糖尿病診療ガイドライン2024(第3章 食事療法)」も参考になります。
PDFはこちら:糖尿病診療ガイドライン2024 第3章 食事療法

まとめ:秋の体調変化、気になることは早めにご相談を

秋は気温や生活リズムの変化により、血圧や血糖値が不安定になりやすい季節です。高血圧や糖尿病をお持ちの方はもちろん、「最近ちょっと気になる」「健診で数値を指摘された」という方も、生活習慣を見直す良いタイミングです。

各務原リハビリテーション病院では、内科と小児科の診療を、初めての方でもご予約なしで受けていただけます。お子さまの健康管理から、大人の生活習慣病予防まで、幅広い年代の方々が健康を維持できるようサポートしております。

また、当院では間歇スキャン式持続血糖測定器(FGM)「FreeStyleリブレ2」を導入しており、糖尿病専門医が在籍する内科でのご相談も可能です。血糖値の変動が気になる方や、より詳しい管理をご希望の方は、ぜひご活用ください。

診察の結果によっては、急性期病院へのご紹介を含めた対応も行っております。まずはお気軽にご相談いただき、秋の健康管理にお役立てください。