梅雨の季節、子どもを感染症から守るには?

梅雨の時期になると、子どもたちが風邪をひきやすくなったり、園や学校で感染症が広がることが増えます。湿度が高くなり、細菌やウイルスが繁殖しやすい環境になるため、この季節ならではの体調管理が重要です。

「うちの子、大丈夫かな?」「予防のために何をしたらいいんだろう?」と、不安に思うお母さんも多いのではないでしょうか?実は、毎日のちょっとした習慣で感染症のリスクを減らすことができます。

この記事では、梅雨時に気を付けるべき感染症とその予防方法を、わかりやすくご紹介します。お子さんが元気に梅雨を乗り切れるよう、一緒に対策を考えていきましょう!

梅雨時に注意すべき感染症(症状・特徴)

感染症名主な症状特徴・注意点
ヘルパンギーナ高熱(39℃以上)、喉の痛み、食欲低下夏風邪の一種。発熱が数日続くことが多い。
手足口病口内の痛み、手足の発疹、微熱飛沫感染・接触感染で広がりやすい。重症化はまれ。
咽頭結膜熱(プール熱)高熱、喉の腫れ、目の充血・目やにアデノウイルスによる感染症。プールでの感染に注意。
RSウイルス感染症咳、鼻水、発熱、呼吸困難(重症化で肺炎リスク)乳児がかかると重症化しやすい。早めの対処が重要。
溶連菌感染症喉の強い痛み、高熱、皮膚の発疹抗生剤治療が必要な場合あり。放置すると合併症のリスク。
ヒトメタニューモウイルス感染症咳、鼻水、高熱、呼吸困難春~初夏に流行。RSウイルスと似た症状。

🔗 公的機関リンク

🏥 厚生労働省 夏が来る前に備える"子どもの感染症対策"

これらの感染症は、飛沫感染・接触感染によって広がるため、手洗いやマスクの着用、換気が予防のポイントになります。次のセクションでは、具体的な予防策について詳しく紹介します。

感染症を防ぐためにできること(予防策)

梅雨の時期は湿度が高く、ウイルスや細菌が活発になりやすいため、毎日の習慣を少し工夫することで感染症のリスクを減らすことができます。

1. 手洗いを徹底する

手洗いは最も効果的な予防策の一つです。特に以下のタイミングでしっかりと石鹸を使って洗うことを習慣にしましょう。

外出後・帰宅時(ウイルスを家に持ち込まないため)
食事の前(口から感染する病原体を防ぐ)
トイレの後(衛生管理の基本)
咳やくしゃみをした後(手についたウイルスを広げないため)

✋ 正しい手洗いのポイント

手洗いのステップ注意点
① 水で手を濡らす温水でも冷水でもOK
② 石けんをつける泡立てることで汚れを落としやすく
③ 指先・爪の間をしっかり洗う爪の周りはウイルスが付きやすい部分
④ 指の間・手の甲もしっかり見落としがちな部分
⑤ 30秒以上洗う「ハッピーバースデー」の歌を2回くらいが目安
⑥ しっかりすすぐ石けんが残らないように注意
⑦ 清潔なタオルで拭く使い回しのタオルは雑菌が増えるのでNG

2. 室内環境を整える(換気・湿度管理)

湿気がこもると細菌やウイルスが増えやすくなるため、適度な換気湿度の管理を心がけましょう。

  • 窓を1日2~3回開けて換気をする(新鮮な空気を取り込む)
  • 湿度は40~60%を目安に(加湿器や除湿機を活用)
  • 除菌スプレーや空気清浄機を使用(ウイルスの拡散を防ぐ)

3. 栄養バランスの良い食事を心がける

子どもの免疫力を高めるためには、栄養のある食事が重要です。特に次の栄養素を意識するといいでしょう:

  • ビタミンC(風邪予防に:みかん・ピーマン・ブロッコリー)
  • ビタミンD(免疫力を強化:魚・きのこ類)
  • 発酵食品(腸内環境を整える:ヨーグルト・納豆)
  • たんぱく質(成長と免疫維持:肉・魚・豆類)

4. 睡眠をしっかりとる

十分な睡眠は免疫力アップにつながります。

  • 子どもは1日10~12時間の睡眠が理想的
  • 就寝前のブルーライトを避ける(スマホやテレビを控える)
  • リラックスできる環境を作る(適度な暗さと快適な室温)

5. 人混みを避ける・マスクを活用する

感染リスクの高い場所では、人混みを避けることも重要です。

  • 混雑した場所ではマスクを着用
  • 発熱や体調不良の人との接触を避ける
  • 園や学校で感染症が流行している場合は注意して行動する

ちょっとした日々の習慣で、感染リスクを減らせます!次のセクションでは、お子さんが感染してしまった場合の対応について詳しく説明します。

子どもが感染した場合の対応(ホームケア+受診の目安)

お子さんが感染症にかかってしまった場合、家庭でのケアと受診のタイミングを正しく知っておくことで、安心して対応できます。

🏠 ホームケアのポイント

1. 水分補給をこまめに

  • 発熱や下痢がある場合、脱水症状を防ぐために少量ずつこまめに水分をとることが大切。
  • 経口補水液や麦茶、湯冷ましなど、胃に負担の少ないものを選ぶ。
  • 「飲みたがらない」場合はスプーンで少しずつ与える。

2. 安静にして十分な睡眠を

  • 体調が悪いときは、無理に遊ばせずゆっくり休ませる
  • 寝室を快適に整え、寝やすい環境を作る(適温・適湿を保つ)。

3. 熱が高い場合の対応

  • 38.5℃以上の発熱がある場合は、脇や首元を冷やすと楽になることも。
  • 解熱剤は医師の指示がある場合に使用し、自己判断で頻繁に使わないよう注意。
  • お風呂は避ける(軽く拭く程度にして、体力の消耗を防ぐ)。

4. 食事は無理せず、消化の良いものを

  • 食欲がないときは無理に食べさせなくてもOK。水分補給を優先。
  • おかゆ、スープ、ヨーグルトなど、胃に負担の少ないものを選ぶ。

5. 感染を広げない工夫

  • タオルや食器を家族で共有しないようにする。
  • 手洗い・うがいを徹底し、こまめに換気をする。

🏥 受診の目安(病院へ行くタイミング)

🔴 すぐに受診が必要な症状
高熱(38.5℃以上)が1日以上続くぐったりしている/食欲がない
呼吸が苦しそう・ゼーゼーしている(特に乳幼児は注意)
嘔吐や下痢がひどく、水分がとれない(脱水のリスク)
意識がもうろうとしている・反応が鈍い
皮膚の発疹が急に広がる

🟡 受診を検討する症状
38℃以上の熱が丸1日続いた場合(症状の悪化を注意深く観察)
夜間も咳がひどく、眠れないほどつらそう
食欲が低下し、いつもと違うぐったりした様子
便の色が異常(白っぽい・血が混じるなど)

まとめ

梅雨の時期は湿度が高く、子どもたちの間で感染症が広がりやすくなります。しかし、**「手洗いの習慣」「換気と湿度管理」「栄養のある食事」「十分な休息」**など、日常のちょっとした工夫で感染リスクを減らすことができます。

万が一、お子さんが体調を崩した場合は、無理をさせずしっかりと休養をとらせることが大切です。そして、以下の症状がある場合は早めに受診を検討しましょう。

📋 受診の目安一覧(症状別)

症状受診の目安
高熱(38.5℃以上)1日以上続く場合は受診を検討
ぐったりしている・食欲がないいつもと違う様子なら早めに診察
水分をとれない脱水のリスクがあるためすぐに受診
呼吸が苦しそうゼーゼーしているなら即受診
嘔吐・下痢がひどい体力が落ちる前に受診を検討
発疹が広がる症状が急変する場合は受診
咳がひどく夜眠れない長引く場合は診察を検討

「少し様子を見てもいいかな?」と思う時も、親御さんの判断に迷いがあれば、気軽に医師に相談することが安心につながります

各務原リハビリテーション病院では、予約なしで小児科・内科の診療を行っております。「受診すべきか迷う…」そんな時こそ、お気軽にご相談ください。お子さまが健康に梅雨を乗り越えられるよう、一緒にサポートしていきましょう!

監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団誠道会 広報担当