夏の冷え疲れに注意!主婦・介護者に多い自律神経の乱れと対策

冷房のある家の中でも、冷えは静かに忍び寄る

毎日、家族のために動き続ける主婦・介護者の方々。
夏休みに入り、子ども中心の生活に追われている保護者もいれば、365日休む間もなく介護を続けている方もいます。ふと立ち止まって、自分の体調に目を向ける余裕もないまま——
暑い屋外で汗だくになって介助や家事をこなしたかと思えば、冷房の効いた部屋で一気に体を冷やす。
この「暑さと冷えの繰り返し」が、自律神経の乱れを引き起こし、さまざまな体調不良につながることがあるのです。「なんとなくだるい」「胃がもたれる」「寝つきが悪い」などの不調が続いていませんか?
それは、夏特有の“冷え疲れ”が原因かもしれません。本記事では、そんな冷え疲れの正体と、毎日の暮らしの中でできるセルフケアの工夫をご紹介します。
ご自身の体と心に、少しだけ目を向けてみませんか。

医療的に見る冷え疲れの原因──自律神経の乱れとは

人の体には、呼吸・心拍・血流・体温・消化などをコントロールする「自律神経」があります。自律神経は、活動時に優位になる交感神経と、休息時に働く副交感神経がバランスを保つことで、身体の状態を整えています。

ところが、以下のような生活が続くと、そのバランスが乱れてしまうのです。

  • 暑い屋外で介助・家事など → 汗だくで体温上昇
  • 冷房の効いた室内に入る → 急激に体が冷えて血管収縮
  • また外へ → 再び暑さの刺激を受けて、交感神経が過剰に反応

このような「温度差の繰り返し」が、自律神経へのストレスとなり、体温調整機能を疲弊させてしまいます。

どんな症状が起こりやすい?

分野症状の例
消化器系胃もたれ・食欲不振・便秘・下痢
睡眠寝つきが悪い・眠りが浅い・夜中に目が覚める
循環系手足の冷え・立ちくらみ・血圧変動
情緒面イライラ・不安感・気分の落ち込み

特に、「更年期世代」「育児や介護で長時間緊張が続く方」は、交感神経が優位になりすぎて、体が休めなくなっている状態が多く見られます。

自律神経の乱れによって現れるこうした一連の症状は、医学的には「自律神経失調症」と呼ばれることもあります。

関連リンク

🔗 厚生労働省の解説はこちら:
e-ヘルスネット|自律神経失調症

症状チェックと、今日からできる冷え疲れセルフケア

冷え疲れによる不調は、「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごされがちです。
まずは、身体からの小さなサインに気づくことが大切です。

冷え疲れチェック(3つ以上当てはまれば要注意)

項目こんな状態、続いていませんか?
□ 食欲不振・胃もたれ食事は用意するが、自分はほとんど食べられない
□ 夜の寝つきが悪い/熟睡感がない「疲れているはずなのに眠れない」と感じる
□ 手足の冷え/体のだるさ室内は涼しいのに、なんとなく体が冷えている
□ イライラ・気分の落ち込み家族に優しくしたいのに、余裕がなくなってきている
□ 疲れていても我慢して動いてしまう自分の不調より、家族の予定を優先している

一つでも思い当たることがあれば、“冷え疲れ”が始まっているサインかもしれません。

暮らしの中でできる冷え疲れ対策

常温・消化にやさしいメニューを味方に

冷えた食事ばかりで胃腸に負担がかかっていませんか?

  • 蒸し野菜+味噌だれ
  • ゆで卵+塩麹
  • ひじき煮・切り干し大根などの作り置き

→ 火を使わずとも、常温で栄養が摂れて胃腸にやさしいメニューで、食欲がないときにも安心。

スポット冷却:体を冷やしすぎない方法

エアコンや冷たい飲み物に頼らず、血流の多い部分を短時間だけ冷やすことで、体温調節をサポートしつつ冷えすぎ防止につながります。

  • 首の後ろ
  • 脇の下
  • 太ももの付け根
  1. 保冷剤や濡れタオルを使って、暑さが厳しい日は1時間に1回、10分程度のクールダウンを。
  2. 室内で静かに過ごしている場合は、2〜3時間に1回でも十分です。
  3. 直接肌に長時間当てると冷えすぎることがあるため、タオルで包む・様子を見ながら調整するのが安心です。

エアコン×扇風機の合わせ技

  • 設定温度は28℃前後がおすすめ
  • 扇風機で空気を循環させると、直接冷気が当たらず、冷えすぎず快適な空間になります。

こころのケアも冷え疲れ対策のひとつ

冷え疲れは、体の不調だけでなく「心の余裕のなさ」にもつながります。
家族のために動き続ける主婦や介護者の方ほど、「自分のケアは後回し」「不調はがまん」と思ってしまいがちです。

でも、心身のバランスが崩れると、体の回復力も落ちてしまうことがあります。
「いたわる時間を持つこと」は、決して自己中心ではなく、家族の健康を守るための大切な土台です。

心をほぐす小さな工夫

忙しい毎日の中でも、ほんの少しの時間や工夫で、心と体をゆるめることができます。
「特別なこと」ではなく、「できることから」で大丈夫です。

1. 温かい飲み物で、ひと息つく時間をつくる

  • 白湯やハーブティー、味噌汁など、体を内側から温めるものを選ぶ
  • 「座って飲む」だけでも、交感神経が落ち着きやすくなります
  • できれば、スマホやテレビから少し離れて、静かな時間を

2. 音楽やラジオを聞きながら家事をする

  • 好きな曲や懐かしい音楽は、気分を前向きにしてくれます
  • ラジオの声や音楽のリズムが、生活のテンポを整える助けに
  • 「ながら時間」でも、心の緊張がゆるむことがあります

3. 好きな香りを取り入れる

  • ハンドクリーム、入浴剤、アロマオイルなど、手軽に使えるものを
  • 香りは脳の「感情をつかさどる部分」に直接働きかけると言われています
  • 「自分の好き」を選ぶことが、自己肯定感にもつながります

4. 「自分のための5分」を意識してみる

  • 予定の合間に、5分だけ座る・深呼吸する・目を閉じる
  • 「何もしない時間」をつくることで、心の余白が生まれます
  • それは、家族のために動き続けるあなた自身への“ねぎらい”です

忙しい日々の中でも、「自分をいたわる時間」は、家族の健康を支える力になります。
まずは、今日のどこかで“ひと息”の時間をつくってみませんか?

まとめ:冷え疲れに気づいたら、まずはひと息

暑い季節は、体の外側だけでなく、内側にも負担がかかります。
特に、家族のために動き続ける主婦や介護者の方は、冷え疲れのサインに気づきにくく、がまんしてしまいがちです。

夏休みに入り、子ども中心の生活に追われている保護者もいれば、365日休む間もなく介護を続けている方もいます。
日々の積み重ねの中で、ふと立ち止まる時間が持てますように。
そんな思いを込めて、冷え疲れと自律神経のケアについてお伝えしてきました。

「なんとなくだるい」「胃がもたれる」「眠れない」などの不調は、
もしかすると、自律神経の乱れによる“冷え疲れ”が原因かもしれません。

今日からできる3つのセルフケア

  1. 常温で栄養が摂れる食事を意識する
  2. 暑さに応じて、定期的にクールダウンする
  3. 自分のための“ひと息”時間をつくる

「自分をいたわること」は、家族の健康を守る力にもなります。
まずは、今日のどこかで、ほんの少しでも自分の体と心に目を向けてみませんか?

体調が気になるときは、どうぞご相談ください

各務原リハビリテーション病院では、予約なしでも内科・小児科の診療を行っております。
「食欲がない」「なんとなく体調がすぐれない」など、気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当

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