寝汗・あせもが睡眠不足の原因?親子の快眠対策
「なぜ睡眠が大切なのか」

夏の夜、寝苦しさや寝汗に悩むご家庭も多いのではないでしょうか。
特に子どもは体温調節が未熟なため、寝汗をかきやすく、あせもなどの肌トラブルにつながることもあります。
こうした不快感が続くと、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下してしまいます。
睡眠は、子どもの成長や健康にとって欠かせない時間です。
成長ホルモンの分泌、免疫力の維持、情緒の安定など、心と体の発達に深く関わっています。
一方で、子どもの睡眠不足は、日中の集中力低下やイライラ、体調不良の原因にもなりかねません。
さらに、夜間の対応で保護者も睡眠不足になり、育児ストレスや疲労が蓄積してしまうことも。
今回は、そんな「寝汗・あせも」が引き起こす睡眠トラブルに注目し、親子で快眠するための工夫をご紹介します。
第1章:子どもの寝汗とあせもの関係
寝汗はなぜ起こるの?
- 子どもは新陳代謝が活発で、睡眠中に体温調節のために汗をかきやすい。
- 特に深い眠りのときに体温が下がる過程で、汗が多く出ることがある。
- 寝汗そのものは自然な現象だが、汗が肌に残ることで「あせも」につながることがある。
あせもとは?医学的な分類と特徴
あせもの種類 | 特徴 | よく見られる部位 | 原因の例 |
---|---|---|---|
水晶様汗疹(すいしょうようかんしん) | 小さな透明の水ぶくれ。かゆみは少ない。 | 顔、首、胸など | 軽い寝汗や短時間の暑さ |
紅色汗疹(こうしょくかんしん) | 赤くてかゆみのあるぶつぶつ。炎症を伴うことも。 | 脇、首、背中など | 汗が皮膚に長く残ることで毛穴が詰まる |
深在性汗疹(しんざいせいかんしん) | 肌色の盛り上がりで、かゆみは少ないが違和感がある。 | 高温多湿の環境で長時間過ごしたとき | 汗腺が深く詰まることで起こる |
💡 ポイント:子どもに多く見られるのは「水晶様汗疹」と「紅色汗疹」。深在性汗疹はまれですが、猛暑や長時間の外出時に注意が必要です。
寝汗とあせもの関係性
- 寝汗が多いと、肌に汗が残りやすく、通気性の悪い寝具や衣類が刺激となってあせもができやすくなる。
- 特に首まわりや背中は寝汗がたまりやすく、あせもができやすい部位。
汗は体のエアコン。でも、エアコンの排水がうまく流れないとトラブルになるように、汗も肌に残ると“肌トラブル”になるんです。
第2章:睡眠不足が子どもに与える影響
1. 睡眠不足はなぜ問題なの?
子どもにとって睡眠は、心と体の成長に欠かせない「栄養」のようなものです。十分な睡眠がとれないと、以下のような影響が出ることがあります。
- 集中力の低下
授業中にぼんやりしたり、注意力が散漫になりやすくなります。 - 感情のコントロールが難しくなる
イライラしやすくなったり、些細なことで泣いたり怒ったりすることが増えることも。 - 体の不調や免疫力の低下
風邪をひきやすくなったり、疲れが取れにくくなることがあります。 - 学力や成績への影響
記憶力や理解力が落ちることで、学習の成果にも影響が出る可能性があります。

2. 年齢別にみる睡眠不足のサイン
睡眠不足は年齢によって現れ方が異なります。以下は一例です。
年齢層 | 睡眠不足のサイン |
---|---|
幼児(3〜6歳) | 朝起きるのを嫌がる、昼間にぐずる、夜泣きが増える |
小学生(6〜12歳) | 学校での集中力低下、感情の起伏が激しくなる、朝食を嫌がる |
中学生以上 | 成績の低下、無気力、スマホやゲームへの依存傾向 |
3. 年齢別・理想的な睡眠時間の目安
子どもの成長段階に応じて、必要な睡眠時間は異なります。以下は一般的な目安です。
年齢層 | 理想的な睡眠時間 | 備考 |
---|---|---|
幼児(3〜6歳) | 10〜13時間 | 昼寝を含めた合計時間。規則正しい生活が大切。 |
小学生(6〜12歳) | 9〜12時間 | 就寝・起床時間を一定に保つことで、学習や体調に良い影響が。 |
中学生(12〜15歳) | 8〜10時間 | 成長ホルモンが分泌される深い睡眠を確保することが重要。 |
高校生(15〜18歳) | 7〜9時間 | 勉強や部活動で忙しくなりがちだが、睡眠の質と量を意識することが必要。 |
4. 睡眠不足が続くとどうなる?
慢性的な睡眠不足は、子どもの発達に長期的な影響を及ぼすことがあります。
- 発育ホルモンの分泌が妨げられ、成長に影響する可能性
- 情緒不安定が続くことで、友人関係や家庭内のトラブルにつながることも
- 睡眠障害やうつ症状など、心の健康への影響も懸念されます
🔗 関連する公的機関の情報ページ
- こどもの睡眠|e-ヘルスネット(厚生労働省)
睡眠不足が子どもの心身に与える影響や、年齢別の推奨睡眠時間、生活習慣の見直しポイントなどが詳しく紹介されています。 - 睡眠対策|厚生労働省公式ページ
「Good Sleepガイド(こども版)」など、家庭で活用できる睡眠改善の資料が掲載されています。
5. 保護者ができるサポートとは?
子どもの睡眠不足に気づいたとき、まずは生活リズムを見直すことが大切です。
- 就寝・起床時間を一定にする
- 寝る前のスマホやテレビを控える
- 寝室の環境(明るさ・音・温度)を整える
- 子どもと「眠れない理由」について話してみる
第3章:親への影響と育児ストレス
育児が親に与える心理的・身体的影響
育児は喜びと同時に、親にとって大きな負担となることがあります。特に夜泣きや授乳などで睡眠が断続的になると、以下のような影響が現れやすくなります。
- 睡眠不足による集中力の低下
- 慢性的な疲労感や体調不良
- イライラや不安感の増加
- 自己肯定感の低下(「ちゃんとできていないかも…」という思い)
- 孤独感や社会的なつながりの希薄化
💬 親の声から見えるリアルな悩み
実際の育児経験者からは、こんな声が聞かれます。
「夜中に何度も起こされて、朝が来るのが怖かった」
「泣き止まない子どもにイライラしてしまい、自己嫌悪に陥った」
「周囲に頼れず、ひとりで抱え込んでいた」
こうした声は決して特別なものではなく、多くの親が経験する“育児ストレス”の一部です。
ストレスとの向き合い方
育児ストレスを軽減するためには、以下のような工夫が役立ちます
- 「完璧な親」になろうとしないこと
→ できることを少しずつ、で十分です。 - 周囲に頼る勇気を持つこと
→ 家族、友人、地域の支援サービスなどを活用しましょう。 - 自分の時間を少しでも確保すること
→ 10分の休憩でも、心の余裕につながります。 - 感情を言葉にすること
→ 日記やSNS、相談窓口などで気持ちを外に出すだけでも違います。
4章:夏の快眠対策(親子でできる工夫)
夏の夜はなぜ寝苦しい?
夏は気温と湿度が高く、寝汗をかきやすい季節です。特に子どもは体温調節が未熟なため、寝苦しさや不快感で眠りが浅くなることがあります。
快眠のためには、寝室の環境を整えることが第一歩です。
快眠のための環境面の工夫(親子でできる)
対策カテゴリ | 実践ポイント | 補足・注意点 |
---|---|---|
室温と湿度の調整 | ・室温は26〜28℃が目安 ・湿度は50〜60%程度に保つ ・風が直接当たらないようにする | 冷やしすぎは体調不良の原因になるため注意 |
寝具の見直し | ・通気性の良い素材(麻・綿)を選ぶ ・汗を吸収しやすいシーツやタオルを使用 ・こまめに洗濯 | 肌に触れる部分は特に清潔に |
パジャマの工夫 | ・吸湿性の高い綿素材を選ぶ ・締め付けの少ないゆったりデザイン ・首元や背中が蒸れないように | 肌トラブル予防にもつながる |
水分補給 | ・寝る前に少量の水分をとる ・日中のこまめな水分補給 ・冷たい飲み物は控えめに | 夜間のトイレ回数が増えないよう量に注意 |
親子でできる快眠習慣
- 就寝前に部屋の空気を入れ替える
- 一緒に「おやすみ前のルーティン」を作る(絵本、音楽など)
- 子どもが安心して眠れるよう、声かけやスキンシップを大切に
第5章:家庭でできる寝汗・あせも対策と快眠の工夫
寝汗・あせもはなぜ起こる?
夏は汗をかきやすく、特に子どもは皮膚が薄く汗腺が未熟なため、寝汗やあせもができやすい傾向があります。
不快感やかゆみがあると、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下することも。
そこで、皮膚と習慣面のケアが重要になります。

快眠のための皮膚と習慣面の工夫
対策カテゴリ | 実践ポイント | 補足・注意点 |
---|---|---|
スキンケア | ・汗をかいたらこまめに拭く ・保湿はさらっとしたローションで ・あせも予防のパウダーも活用 | 強くこすらず、やさしくケアすることが大切 |
入浴の工夫 | ・ぬるめのお湯(38〜40℃)でリラックス ・汗や汚れをしっかり落とす ・入浴後はすぐに保湿 | 入浴後の汗が引いてから寝ると快眠につながる |
汗取りパッドの活用 | ・背中や首元に汗取りパッドを使用 ・通気性の良い素材を選ぶ ・寝具と併用して快適に | パッドはこまめに交換し、清潔を保つ |
生活習慣の見直し | ・寝る前の激しい運動は避ける ・夕食は消化の良いものを ・就寝前のスマホ・テレビは控える | 眠る前の「クールダウン時間」を意識することが大切 |
親子でできる快眠サポート
- 子どもの肌状態をこまめにチェック
- 「汗をかいたら着替える」習慣を一緒に身につける
- 入浴後のスキンケアを親子で楽しむ時間にする
さいごに
夏の夜は、暑さや湿度、寝汗などによって眠りが浅くなりがちです。
特に子どもは体温調節や皮膚の機能が未熟なため、環境と身体の両面からのサポートが必要です。
ちょっとした工夫が、ぐっすり眠れる夜につながります。
親子で一緒に取り組むことで、安心感と快眠の習慣が自然と身につきます。
「眠ることが楽しみになる夜」を目指して、できることから少しずつ始めてみましょう。
体調が気になるときは、どうぞご相談ください
各務原リハビリテーション病院では、予約なしでも内科・小児科の診療を行っております。
「寝汗が多くて心配」「あせもがなかなか治らない」「暑さのせいか、元気がないように感じる」など、夏特有の子どもの体調変化が気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。
ちょっとした不調でも、早めの受診が安心につながります。
保護者の皆さまの不安にも寄り添えるよう、スタッフ一同お待ちしております。
監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当