骨粗しょう症は他人事じゃない!40代から始める骨ケア習慣

「骨粗しょう症って、高齢者の病気でしょ?」
そんなふうに思っていませんか?
実は、骨の密度は40代から徐々に低下し始め、知らないうちに“骨折しやすい体”になっていることも。
特に女性は、閉経後のホルモン変化によって骨量が急激に減少するリスクがあるため、40代からの骨ケアはとても重要です。
骨粗しょう症は、痛みもなく静かに進行する“沈黙の病気”。
でも、日々の生活習慣を少し見直すだけで、骨を守る力はぐんと高まります。
このブログでは、40代から始められる骨ケア習慣や、受診のタイミング、地域で受けられる診療の情報などをわかりやすくご紹介します。
「まだ大丈夫」と思っている今こそ、未来の骨折予防につながる第一歩を踏み出しましょう。

骨粗しょう症とは?基礎知識

骨粗しょう症(こつそしょうしょう)は、骨の密度と質が低下し、骨折しやすくなる病気です。
痛みなどの自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行し、転倒や軽い衝撃で骨折して初めて気づくことも少なくありません。

骨の役割と構造

骨は「体を支える棒」ではなく、代謝・免疫・ホルモン分泌にも関わる多機能な臓器です。

骨の構造:外側と内側で役割が違う

部位構造主な役割
皮質骨(外側)緻密で硬い体を支える・力を伝える
海綿骨(内側)網目状で軽い血液細胞の産生・カルシウムの出し入れ
  • 皮質骨は骨の外側を覆う硬い部分で、骨全体の約80%を占めます。
    → 骨折の衝撃に耐える「柱」のような役割。
  • 海綿骨は骨の内側にあり、スポンジのような構造。
    → 骨髄があり、赤血球・白血球・血小板などの血液細胞を作る場所です。

骨の意外な役割:ホルモンと免疫にも関与

  • 骨は「オステオカルシン」というホルモンを分泌し、血糖調整や男性ホルモンの働きにも関与しています。
  • 骨髄では免疫細胞が作られるため、免疫機能の維持にも重要です。

こうした複雑な働きを持つ骨だからこそ、骨粗しょう症は単なる“骨折しやすい病気”ではなく、全身の健康に関わる問題なのです。

骨の代謝:常に生まれ変わっている

骨は「壊しては作る」を繰り返すことで、強さと柔軟性を保っています。この仕組みを「骨リモデリング」と呼びます。

  • 破骨細胞:古い骨を壊してカルシウムを放出
  • 骨芽細胞:新しい骨を作って骨の強度を回復
  • このバランスが崩れると、骨量が減少し、骨粗しょう症が進行します。

骨代謝のピークと40代以降の変化

年代骨代謝の特徴
10〜20代骨形成が活発 → 骨量が増加(ピーク)
30代骨量が安定
40代以降骨吸収が優位に → 骨量が徐々に減少
閉経後(女性)エストロゲン低下 → 骨量が急激に減少
  • 特に女性は、閉経前後の10年間が“骨の曲がり角”とされ、骨粗しょう症のリスクが高まります。
  • 男性も加齢や生活習慣によって骨代謝が低下し、やせ型・糖尿病・胃腸の不調などがリスク要因になります。

骨粗しょう症のリスクと症状

  • 骨粗しょう症は**自覚症状がほとんどなく、静かに進行する“沈黙の病気”**です。
  • 骨折しやすくなる部位
    • 背骨(椎体圧迫骨折)
    • 手首
    • 太ももの付け根(大腿骨近位部骨折)
  • 骨折によって寝たきりや生活の質の低下につながることもあります。

40代から始める骨ケア習慣

骨粗しょう症は、生活習慣によって予防できる病気です。
特に骨代謝が変化し始める40代は、骨を守るための習慣を身につける絶好のタイミング。
ここでは、食事・運動・生活習慣の3つの視点から、骨ケアのポイントをご紹介します。

食事で骨を育てる

  • カルシウム:骨の主成分。牛乳・小魚・小松菜・豆腐などに豊富
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける。鮭・きのこ類・卵など
  • タンパク質:骨の構造を支える。肉・魚・大豆製品など
  • マグネシウム・ビタミンK:骨質の維持に重要。納豆・緑黄色野菜に含まれる

食事は「骨の材料を補う」だけでなく、「骨代謝を整える」役割もあります。
偏りなく、バランスよく摂ることが大切です。

とても良い質問です!
40代からの骨ケアには、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK・タンパク質をバランスよく摂れる料理が理想的です。以下に、参考になる料理をいくつかご紹介します。

骨を育てるおすすめ料理(40代向け)

1.鮭とパプリカのポン酢漬け
  • 鮭:ビタミンDとタンパク質が豊富
  • パプリカ:ビタミンCでコラーゲン生成をサポート
  • 酢:カルシウムの吸収率をアップ
2.切り干し大根のごま酢和え
  • 切り干し大根:カルシウムが豊富
  • ごま:マグネシウムとカルシウムの補強
  • 酢:吸収率を高める調味料
3.小松菜と油揚げの味噌汁
  • 小松菜:カルシウムとビタミンKが豊富
  • 油揚げ:大豆由来のカルシウムとマグネシウム
  • 味噌:発酵食品として腸内環境にも◎

忙しい日でも手軽に作れて、骨に必要な栄養素をしっかり摂れる一品!
レシピをご紹介します。

〈材料(2人分)〉

  • 小松菜:1/2束
  • 油揚げ:1枚
  • 味噌:大さじ1〜1.5
  • だし汁:400ml

〈作り方〉

  1. 小松菜は3cmほどに切り、油揚げは短冊切りにする
  2. 鍋にだし汁を入れて火にかけ、小松菜と油揚げを加える
  3. 火が通ったら味噌を溶き入れ、ひと煮立ちさせて完成!

小松菜のカルシウムとビタミンK、油揚げのタンパク質とマグネシウムが一度に摂れる、骨ケアにぴったりの味噌汁です。

4.いわしとほうれん草のチーズ焼き
  • いわし(オイルサーディン):骨ごと食べられカルシウムたっぷり
  • ほうれん草:ビタミンKとマグネシウム
  • チーズ:カルシウムとタンパク質

運動で骨に刺激を与える

骨は負荷がかかることで強くなる性質があります。

おすすめの運動

  • ウォーキング・階段昇降:日常の中で骨に刺激を与える
  • 軽い筋トレ:太もも・背中・腕などの大きな筋肉を意識
  • ストレッチ・ヨガ:柔軟性を保ち、転倒予防にも効果的

「骨に負荷をかける=骨を育てる刺激」。
無理なく続けられる運動を、日常に取り入れてみましょう。

生活習慣の見直しも骨ケアの一環

  • 睡眠不足:骨代謝ホルモンの分泌に影響
  • 喫煙・過度な飲酒:骨吸収を促進し、骨量を減らす
  • 日光浴:ビタミンDの生成に必要(1日15分程度が目安、真夏は熱中症に注意が必要です)

骨の健康は、日々の積み重ねから。
小さな習慣の見直しが、将来の骨折予防につながります。

受診のすすめ:診療だけでも骨を守る第一歩

「骨粗しょう症って、検査や薬が必要なのでは?」
そう思って受診をためらう方も少なくありません。
でも実は、診療だけでもできることはたくさんあります

診療でできること

  • 問診と生活習慣の確認
    → 食事・運動・睡眠など、骨に影響する習慣を一緒に見直します。
  • 骨粗しょう症のリスク評価
    → 年齢・性別・体型・家族歴などから、必要に応じて検査を提案。
  • 生活指導と予防アドバイス
    → 骨に良い食事や運動の方法を、医師や看護師がわかりやすく説明。
  • 薬の相談(必要な場合のみ)
    → 骨密度が低い場合は、薬物療法の選択肢もありますが、無理に勧めることはありません

 手術なしでもできる骨ケア

整形外科というと「手術」のイメージがあるかもしれませんが、診療のみでも骨粗しょう症の予防・改善は可能です。

  • 骨密度の低下は、生活習慣の改善だけでも十分に対処できるケースが多いです。
  • 「まだ症状がないからこそ、今のうちにできること」があります。

こんな方におすすめです

  • 最近、背中が丸くなってきた気がする
  • 家族に骨粗しょう症の人がいる
  • 閉経を迎えた、または近い
  • 運動不足や食生活の偏りが気になる
  • 「骨粗しょう症って何か気になるけど、まだ受診するほどじゃない」と感じている方

こうした方は、まずは診療で相談してみることが、骨を守る第一歩になります。

 関連する公的機関の情報ページ

地域で受けられる診療情報:身近な医療機関で骨ケアを

「どこに相談すればいいの?」
そんな方もご安心ください。骨粗しょう症の診療や生活指導は、地域の医療機関でも気軽に受けられます。

整形外科・内科で相談できます

  • 整形外科
    → 骨密度の測定、骨折リスクの評価、生活指導、薬物療法などを行っています。
    → 骨や関節の痛みがある方にもおすすめです。
  • 内科(かかりつけ医)
    → 健康診断の結果や生活習慣をもとに、骨粗しょう症のリスクを評価。
    → 必要に応じて整形外科への紹介もしてくれます。

受診のタイミングは?

  • 健康診断の結果が気になったとき
  • 転倒や骨折の経験があるとき
  • 閉経後や高齢になってきたと感じたとき
  • 「ちょっと相談してみたい」と思ったとき

迷ったら、まずはかかりつけ医や近くの整形外科に相談してみましょう。
診療だけでも、骨を守るヒントがきっと見つかります。

各務原リハビリテーション病院からのお知らせ

骨の健康は、日々の積み重ねから。
40代からのちょっとした習慣が、将来の骨折リスクを大きく減らします。

各務原市にある各務原リハビリテーション病院では、
手術なしでもできる骨粗しょう症の診療・生活指導を行っています。

令和7年8月より、整形外科の外来診療を拡大し、予約なしで整形外科専門医による診療を受けていただけます。
また、内科の診療も予約不要ですので、「ちょっと気になるな」と思ったときに、どうぞお気軽にご相談ください。

監修:各務原リハビリテーション病院長 磯野 倫夫
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当